デンマーク時間でこんばんは、フードコーディネーター/フードスタイリストのsaecoです。つい最近までデザインを学ぶためにフォルケホイスコーレという学校に通っていたんですが、今日はそのときの話を。

わたしが通っていた学校はコースが4つあり、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、建築デザイン、ファッションデザインの中から自分が学びたい科目を選ぶというもの。わたしはグラフィックデザインを専攻していたんですが、専攻以外の科目を学べる選択授業がときどきあり、科目の垣根を越えて自分が好きなことを学べました。

デンマーク人陶芸家に学ぶ「楽焼」

じつは入学前からメインのグラフィックデザインの授業より楽しみにしていたのが、陶芸の授業です。デンマークに引っ越す前から陶芸には興味があり、たまに陶芸教室の体験コースには参加したりしていたのですが、本格的にやってみたいなぁとずっと思っていて。今回はちょうどよい機会でした。
陶芸といってもいろんな技法がありますが、今回学んだのは「楽焼」!なんと思いっきり日本の焼き物です(笑)

楽焼ってどんな焼き物か知っていますか?

楽焼と聞いてもいまいちピンとこない方もいるかもしれません。
楽焼とは、ろくろを用いず指先でひねって作る手捻りの技法を取り入れた焼き物です。もともとは桃山時代に茶の湯から生まれた日本独自のものです。お茶の精神に則って作られており、手になじむ形や落ち着いた色の抹茶茶碗が主流です。茶道をしている方でなければ、日常で触れる機会は少ないかもしれませんね。

そんな楽焼ですが、海外では「Raku」と呼ばれていて、デンマークでも結構人気のようです。
そして講師の陶芸家の方は日本に来たことが

ない!そうです…(笑)

デンマークで日本に来たことがない陶芸家に日本の焼き物を教わるとは。文化の逆輸入ですね。

いびつなところが楽焼の特徴であり魅力でもあるのですが、一緒に授業を受けたデンマーク人の生徒のみなさんは、全くいびつではないきっちり左右対称の作品を作っていました。

焼き物を見慣れているわたしたち日本人と違い、先入観がないからいろんな発想でできるのかもしれません。デンマーク人と日本人の美意識の違いのせいかもなぁ、なんて思ったりもしました。

とにかく手を動かして!陶芸に没頭

陶芸家の先生の指導ですが、とにかく楽しんで!という感じで技術的な指導はほとんどありません。
もともとフォルケホイスコーレ自体が、「自分が学びたい分野が自分に合うかどうか見極める学校」の役割を担っていたりもするので、理論より先に感覚を大切にしているようです。

日本の陶芸の体験教室だと一回で一作品作ることが普通ですが、5日間で好きなだけ好きなものを作れる!ということでいろんなものを作ってみました。

楽焼の作り方

まずはじめに土をこねて成型して乾燥させ、一度釜で焼きます。
着色前の楽焼を釜で焼いている様子
次に、焼いたうつわにガラス質の釉薬を塗ってまた乾燥させます。

これが私が作ったうつわ。焼く前です。主人とペアで使うこと前提なので、どれも二つセットで作りました。
デンマークのフォルケホイスコーレで楽焼に挑戦
落ち着いた色の日本の楽焼のイメージとは違い、鮮やかな色から暗い色までいろんな色の釉薬が用意されていて自分の好きな色が塗れました。一色だけでなく、多色使いにしてみたりと塗り方も自由です。

そして、この窯の中に入れて20分程度の短時間焼き上げます。
釉薬を塗った楽焼を釜の中で焼いている様子
焼き上がったうつわは水に浸けて冷やし、すすで真っ黒になっているのをタワシでこすって落とすと完成!
楽焼を焼いた後にすすを落とす様子
このすすを落とす作業がけっこう大変でした。なかなか落ちなくて、力を入れすぎてバキッと折れてしまったものも。。

完成品はこちら。
手前のピンクのうつわとその後ろの青いどんぶりが私の作品です。
デンマークのフォルケホイスコーレで作った楽焼の丼と煮物椀
このころどんぶりがすごく欲しかったので、ちょうど家で使えていいなと思って作りました。
麺類を入れるには少し浅すぎるので、丼ものを食べる時に使っています。

こちらは箸置き。花の形とリボンの形を作ってみました。お花は和菓子を参考に。
デンマークのフォルケホイスコーレで作った楽焼の花とリボンの箸置き
正直色が思ったように出なかったんですが、お花のデザインはデンマークの人には総じてにウケがよくVery Beautiful!と言ってもらえて嬉しかったです。

あんまり気に入ってないけどこんなのも…
用途を決めずに作ったので微妙なデザインになりました。。とりあえず家で鍵入れに使ってます。
デンマークのフォルケホイスコーレで作った楽焼の角皿と箸置き

デンマークと和食器

ところで、こちらの記事でも紹介していますが、意外とデンマークには和食器風のうつわが売っています。

たまに日本っぽいものがあるなと思ったら、本当にMade in Japanだったりもするんですが、デンマーク製の食器でも和食器のようなうつわが手に入ります。

それでも、わたしはもっと和食器を持って来ればよかったと後悔しています…。お皿は全部デンマークで買えばいいかと思ってほとんど持ってこなかったんですが、やっぱり和食を食べる時には日本の和食器が使いやすいと思います。特にどんぶりやお椀、小皿類はちょうど良い大きさがなかなか売っていません。

洋食はナイフとフォークで食べるので、洋食器は手持ちで使うことを想定されておらず重いものが多いです。
日本の和食器の種類の豊富さ、質の高さは、世界の中でも随一だと思います。
現地のアジア食品店や日本の商品を扱っているお店なら手に入る可能性もありますが、日本で買うより高いし気に入るものがあるとは限らないので、これから海外に住む方は、持って行けるなら持って行くことをおすすめします。

プレート類ならいくらでも売ってるんですけどね。むしろ買わなくても今の賃貸アパートに山ほどプレートが備え付けであったりします…(笑)

おわりに

日本に住んでいると海外のものの方がよく見えたりしますが、海外に住むとより日本的なものに惹かれます。
海外の人から私たちが当たり前に思っているデザインが、すごい、美しい、と言われたりするとやっぱり嬉しいですね。

一週間の陶芸体験はすごく楽しかったです。毎日朝から晩まで授業が終わってからも作り続けましたが、もっとこうしたかったな~というところ多々あり。
同じように作ったはずの二つの器も微妙に色が変わってしまったり、色も形もなかなか思い通りにならなくて、陶芸って奥が深くて難しいな、と思いました。もっと本格的に陶芸やりたい欲が湧いてきています。