こんにちは、フードコーディネーター/フードスタイリストのsaecoです。

一週間ほど更新していませんでしたが、その間急性胃腸炎でダウンしていました。
とりあえず、めちゃくちゃしんどかったですが、徐々に回復してブログを書けるまでにはなりました。

が、海外で体調を崩すと日本と勝手が違うので不安だし戸惑いますよね。そんな経験を踏まえ、今回はデンマークの医療制度についてご紹介します。

デンマークで急性胃腸炎発症

じつは先日誕生日を迎え、お祝いでディナーに連れて行ってもらったんですが、最近気温の変化が激しいせいか体調があまり良くなかったんですよね。
身体もちょっとしんどいし胃の調子も悪いなぁ…と思いながら寝ようとしたら、いきなり気持ち悪くなって嘔吐。寒気もするので熱を測ると熱が出ていました。

せっかく誕生日なのに、これが厄年か…
(年末年始の一時帰国時にも体調崩しました。)

なんて思う余裕は全くなく、夜中じゅうしんどくてなかなか眠れなかったのを主人が看病してくれました。が、そのまま朝になってまだ熱のある朦朧とした頭で横を見ると、看病してくれていたはずの主人までしんどそうにうんうん唸っています。

あれ…?

夜中気持ち悪くなって吐いた…

まじか。

ということで、夫婦二人で胃腸炎になり寝込みました。最初は水を飲むのも気持ち悪くて、なかなか熱が下がらないし吐き気も治らないので緊急病院に電話してみるも

そんな重症じゃないと思うから、砂糖水を飲んで寝たら大丈夫よ。

って診てくれへんのかい。緊急病院の意味あらへんやないかい。
というツッコミをするような余裕もなかったですが、とりあえず水分は取らないと脱水症状になりかねません。たしか粉状のポカリスエット日本から持ってきてたはず…

あった!過去のわたしGood Job!!
ということでひたすらポカリ飲んで寝てました。水に溶かすタイプのやつですね。持って来てて良かったと心から思いました。

とりあえず何も食べれなかったピークは越え、徐々にお粥やうどんなど食べれるようになりました。今もまだお腹が痛くなったりとあまり体調が良くないので、日本から持参した市販の胃腸薬を飲みつつ消化の良い物だけ食べるようにしてます…辛い。

体調を崩しても家族がいるから大丈夫かと思いきや、まさか同時にダウンするのは予想外でした。日本でノロウイルスに感染した時と同じような症状で、主人にも感染したので多分ウイルス性の胃腸炎だと思いますが、病院にも行ってないので原因はよくわかりません。

こういう場合、日本に住んでいたら必ず病院に行っていましたが、デンマークでは少し事情が違います。

医療費無料のデンマークの仕組み

医療費無料のデンマークデンマークが高福祉国というのは有名な話だと思いますが、デンマークではいろいろな制度が無料で利用できます。ただし、デンマークの住人は所得に応じて50%前後の高い所得税を支払っており、消費税率は25%で世界3位。
これはもちろん外国人のわたしたちにも適応され、アルバイトですら最低の38%の税金がかかります。デンマークの最低賃金は日本の約2倍ですが、手取りはほとんど変わらないですね。これらの税金により福祉が賄われているのですが、そのうちの一つが医療費無料というもの。

デンマークでは短期・長期在住を問わず、住民登録をするとイエローカードという健康保険証がもらえ、家庭医の登録をすることになります。この家庭医というのは、いわゆる近所のかかりつけ医のようなもので、住んでいる場所に応じて変更ができるようになっています。

デンマークで病院にかかりたい場合は、まずこの家庭医に電話か診察で診てもらう必要があります。そして、そこで家庭医が必要だと判断すれば、専門医を紹介してもらい、予約して診察してもらうという流れ。
日本のように専門の病院に直接行けるわけではなく、「家庭医の診察」という段階を踏まなければいけないようになっています。

無料だけど良いことばかりじゃない

医療費無料というと一見素晴らしいシステムのように聞こえますが、ここでポイントなのは、病院で診てもらいたいときにすぐに診てもらえない、ということです。

家庭医から専門医を紹介されたあと病院に行こうとしても、予約制なのですぐに診てもらえず、数日〜数週間待たなければいけないことも少なくありません。
何日も待っていたら軽度の病気ならその間に治りそうですが、すぐ診てもらえず悪化する場合もありそう。

また、専門医を紹介してもらう前に家庭医に診てもらわなければいけませんが、今回のわたしたちのようにほとんど診察らしい診察はしてくれず、薬を出してくれることも滅多にないそう。わたしたちはそのことを他の人から聞いていたので、万一のために教えてもらっていた緊急病院に連絡しましたが、対応はたいして変わりませんでした…
デンマークでは風邪くらいでは病院に行かないという人がほとんどで、仮にインフルエンザだったとしても病院で診てもらわないので、インフルエンザかどうかわからないまま治るということもあるみたいです。

ただし、重い病気で手術や長期の治療が必要な場合でも全て無料。
デンマークの公立の病院は税金で全て賄われているため、全員を同じ時間をかけて診るのではなく、軽い症状の患者よりも重病の患者を優先しているためこうなるのでしょう。

とはいえ、デンマーク人でもすぐに診てもらいたい人は自己負担で私立の病院で診てもらったり、民間の医療保険に加入している人もいるようです。実際、ガンなどの重い病気は発見が遅れて重症になることも多いらしく、デンマークは日本よりガンでの死亡率も高いです。
また、歯の治療だけは保険が効かず一回の治療で数万単位と非常に高額になるため、わざわざお隣のスウェーデンに歯の治療をしに行く人もいると聞きました。

おわりに

日本ではデンマークの福祉や医療制度が理想のように宣伝されていることもありますが、日本と同じ感覚で無料で利用できるというわけではありません。同じ症状でも日本だったらすぐに病院に行ってもっと早く回復してる気がしますし、短期在住の身としては、高い税金を払ってるのに行きたい時に病院に行けないなんて…とも思います。でも、もし重い病気にかかっていたらデンマークのシステムはすごく良いと思うかもしれないし、やっぱりどの国のシステムにも一長一短はあるものですね。
デンマークにこれから住む方は、必ず日本から飲み慣れた薬を持っていくことをおすすめします!