こんにちは、フードコーディネーター/フードスタイリストのsaecoです。
海外生活をこれから始める方は、海外で日本の食材ってどの程度手に入るの?
と気になっている方も多いと思います。

味噌汁は毎日でも飲みたい和食派のわたしも例に漏れず、海外生活を始める前は、海外で日本食は作れる?どんな材料が手に入る?とすごく気になって、海外在住者の方のブログなどを参考にしながら、日本から送る食材を制限ギリギリまで買い出しに行きました。ですが、いったん生活を始めてみると思っていたより手に入るものは多かったです。

ただし高い!

輸入品だと関税がかかったりするので仕方ないのですが、その中でもダントツに高いのが、日本食を作るうえで欠かせないみりん。ヨーロッパでは酒とみりんは酒類扱いで輸入時に酒税がかけられるため、日本で買う3倍以上の値段になっていることも珍しくありません。

日本でまとめ買いして持って行くのが一番お金がかからない方法ですが、液体物でかさばるうえに重量もあるので、たくさん持って行くのは難しいですよね。とはいえ、和食を作る方にとっては消費量が多い調味料。現地で買うのは高すぎると思っている方へ、今日は酒とみりんの代用品をご紹介したいと思います。

まずは酒とみりんの役割をおさらい

その前にまず、なぜ酒とみりんが和食で必要なんでしょうか?レシピに載っているからなんとなく使ってるという方も多いのでは?
酒とみりんがどんな役割をしているのか、をまずおさらいしたいと思います。

酒の役割

酒の役割は素材を柔らかくする、臭みを取る、旨みを引き出す、コクを出す、風味付け、などがあります。調理の最初に入れて加熱してアルコール分を飛ばし、香りと旨みを残すのが基本の使い方ですが、料理の仕上げにほんの少しだけ入れて風味付けすることもあります。また、魚介類の臭みを取るために、調理前に酒を振りかけておいたりもしますね。
和食では料理酒や日本酒が使われますが、洋食にはワイン、中華には紹興酒などが使われています。

みりんの役割

みりんも実は酒と似ている役割があり、臭みを取る、旨みを引き出す、コクを出す、などは酒と同じ。酒にない役割としては、砂糖と同じように甘味を加える照りを付けるなどがあります。

砂糖と違うのは、みりんの方がよりマイルドな甘味になるということと、コクが出るので味に深みが出ます。レシピによっては砂糖とみりんが使い分けられていたり、両方使われていることもありますが、材料によっては砂糖だけでも十分なこともありますし、みりんの方が適していることも。例えば煮物は味が染み込みにくい食材には砂糖、染み込みやすい食材にはみりんを使うなど、使い分けている場合もあります。

甘味を付けるという役割では、砂糖と同じですが、入れる順番には注意してください。砂糖は調理の初めに入れることが多いですが、みりんは食材を引き締める効果があるため、柔らかくしたい煮物などで最初に入れると硬くなってしまいます。みりんは調理の最後の方に入れるのが良いでしょう。

酒の代用品にはこれ!

料理酒の代わりになるのはやはり同じお酒。先述したように、ヨーロッパでは洋食に料理酒と似た役割でワインが使われています。クセが少ない白ワインであれば、代用品としては使いやすいと思います。アルコールを飛ばせばそこまで味は変わらないという意見を聞いたので実際に試してみましたが、代用できるかどうかは料理によると思ったので、わたしのおすすめをご紹介したいと思います。

白ワインを代用するのにおすすめ料理

白ワインを料理酒の代わりに使ってもそこまで味に影響がないのは、肉料理や、醤油や砂糖が多めの濃い目の味付けの料理です。他の調味料や素材の味自体がしっかりしている場合は、ワインの味はそこまで強く感じず美味しく仕上がります。入れるタイミングは酒と同じでOK。調理の最初に入れてアルコールをしっかり飛ばしてください。

白ワインを使わない方が良い料理

お鍋で作る あさりと菜の花の茶碗蒸し
お鍋で作る あさりと菜の花の茶碗蒸し

では逆に白ワインが向かない料理はどんな料理でしょうか?
白ワインを料理酒の代わりに使うときに注意したいのは、味付けと食材によっては全然違う料理になってしまうということ!
ワインは酒と違って酸味が強いので、関西風のうどんだしや茶碗蒸しなど、出汁を効かせた薄味の料理や、白身魚など素材自体の味が薄い料理には向いていません。ワインの酸味が残ってしまい、和食と洋食が変にミックスされたような味になり、あまり美味しくできませんでした。

白ワイン以外に代用できるもの

もちろんワイン以外の他のアルコールも代用品として利用できます。牛肉などは赤ワインで煮込むと美味しいですし、ドイツやベルギーにはビールで肉を煮込んだ料理などもあります。
ただし、代用品として使えるのは今までご紹介した「醸造酒」いう種類のアルコールになります。焼酎やウイスキー、ブランデーなどの「蒸留酒」は、クセが強く素材を硬くしてしまうこともあるので代用品にはあまり向いていません。(紹興酒は蒸留酒ですが、中華の食材とは相性が良いのでそういう場合は大丈夫です。)

料理酒とみりんの代わりにある意外な材料を使って角煮を作ったレシピはこちら。

みりんの代用品は?

みりんの代用品は料理によって変わります。

料理の照りを付けたい場合

我が家で人気 長芋の豚肉巻き
我が家で人気 長芋の豚肉巻き

照り焼きや煮物などで料理に照りを付けたい場合は、調理の最後に蜂蜜を入れるか、蜂蜜+酒or白ワインを混ぜたものが使えます。蜂蜜+酒or白ワイン=1:1の分量で、例えばレシピに「みりん大さじ1」と記載されている場合は、蜂蜜と酒or白ワインをそれぞれ大さじ1/2ずつ入れます。

料理に甘味を付けたい場合

料理に甘みを付けたい場合は、砂糖か、砂糖+酒or白ワインを混ぜたものを使います。砂糖を使う場合は、砂糖の方がみりんより甘味が強いので控えめに、レシピに記載されているみりんの半量くらいを使います。

蜂蜜は照りを付けるのには向いているものの商品によって味がだいぶ変わるので、あえて用途によって使い分けてご紹介しました。個人的には砂糖で甘みをつけて、蜂蜜をほんの少しだけ入れるとマイルドかつコクが出て良いと思います。好みの味が決まれば、それを大目に作りおいてみりん代わりに使ったら便利ですね。

基本の調味料だけど、使わなくてもいい場合も

すでに調理で酒を使っている場合は、蜂蜜や砂糖だけでも十分な場合もありますし、それ自体が旨味が強い食材(海藻、トマト、きのこ類)を使う場合は、酒もみりんも入れなくても十分なことも。
特に、ヨーロッパの野菜は日本の野菜と味が違い、それ自体の味がしっかりしているものが多いので、素材の味を活かしてシンプルに調理した方が美味しく仕上がるかもしれません。
また、あとからみりんを使う感覚で白ワインを入れると、白ワインの風味が残ってしまうことがあるので、風味をあまり残したくない料理の時は入れないほうがいいと思います。

おわりに

住んでいる地域で酒・みりんが全く手に入らない場合は代用品に頼るしかないですが、そうでない場合は料理によって使い分けた方がいいと思います。やっぱり酒・みりんでないと美味しくないという場合はあるので、ここぞというときに取っておいてうまく節約するのがおすすめです。

とはいえ、日本ではどこでも売っていた食材が、海外では簡単に手に入らず不便を感じることもありますが、いろいろ試してみるのもけっこう楽しいものです。代用品を使うとたまに和食のつもりが洋風な味付けになったりもしますが、それはそれで新しい発見になるかも!?

他にも海外で手に入りにくい日本食材はたくさん。自家製で作れるものはこちらをごらんください。