こんばんは、フードコーディネーター/フードスタイリストのsaecoです。

デンマークといえばおしゃれな北欧デザインや教育制度、充実した福祉などに関心を持つ人が多いと思いますし、カラフルで可愛い町並みにおとぎの国のようなイメージも根強いでしょう。わたしも同じようにデンマークに引っ越すまでは安心・安全でクリーンな国というイメージを持っていました。

それも決して間違いではないのですが、実は日本ではあまり知られていない裏の顔もあります。

コペンハーゲンの無法地帯?なんでもありのクリスチャニア

デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
コペンハーゲンのど真ん中にクリスチャニア(Christiania)という地区があるのはご存知でしょうか。

「ヒッピーの楽園」と言われるクリスチャニアは、デンマークの中にありながら、デンマークとは違うひとつの国家である自治区です。
国と言っても面積は村と言えるくらいとても小さなエリアですが、独自の国旗や国歌を作り、デンマーク政府が定めたものとは異なる法律のもと住民により運営されています。

当人たちはデンマーク政府からは独立しているつもりらしいですが、デンマーク政府は認めておらず、長年対立が続いているそう。
そして、法律は独自のものがありながら、クリスチャニアの市民はデンマーク政府に税金を納め、手厚い社会福祉も受けているって……なんとも不思議な場所です。

赤地に黄色い円が三つ描かれているのがクリスチャニアの国旗です。国旗がついたグッズもたくさん販売されています。
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
自由や平等を愛する住民が住むクリスチャニアには独自の法律があると言いましたが、正直なところ法律はあってないようなもの。

暴力禁止、マリファナ以外のハードドラックは禁止、空気を汚染する自動車通行は禁止、など独特なルールがありますが、有名なのはデンマークでは違法とされているマリファナ(大麻)が合法で売買・使用されていること。

売買されているのはクリスチャニアの一角で、そのエリアに近づくと独特の臭いですぐにわかりますし、行ってみると目の前で普通に売買されていました。
ちなみに、マリファナが売買されているエリアは撮影禁止のため撮影はできません(この記事に載せている写真は全て撮影OKエリアで撮ったものです)。

「NO PHOTO」という看板も立てられていますが、これから観光に行く人はうっかり撮影禁止の場所を撮らないよう気をつけてください。

家は自作!?日用品から材木までなんでも揃う

クリスチャニアの住民は基本的には自給自足のような生活をしているらしく、建てられている家はなんと住人の自作!敷地内にお店があり家を作る材木や塗料など色々なものが売られています。

カラフルで個性的すぎる家の数々。「WONDER LAND」と描かれているのが見えるでしょうか?
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
まさに、デンマークにある小さなワンダーランドです。
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
露店なのか、ガラクタを置いているだけなのか良くわかりませんが、いろんなものが家の前に置かれています。
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
こんなものまで!これ一体何に使うんでしょう…
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
道の一角に物置のような場所がありますが、これは一体なんなんでしょうか?
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
実はここは、クリスチャニアの住人が不用品を持ってきて置いていく場所だそうです。
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
ここに置いてある古着や本、雑貨などは欲しい人が持って行って再利用しているそう。

クリスチャニアはなぜ生まれたの?

デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
アジアのどこかの国に紛れ込んだような混沌とした雰囲気のクリスチャニア。なぜこんな場所がデンマークにあるのか?と疑問に思う方も多いと思います。

もともとここは軍用地だったそうですが、1971年に軍が移転し、近所の人たちが使われていない土地を子供たちの遊び場にしたことから一般に解放され、その後ヒッピーや不法居住者たちが自由を求めて住みついたそうです。
現在は、およそ34ヘクタールの敷地に、1000軒もの建物が並び、約850人の住民が暮らしているそうです。

ヒッピーというと、長い髪のボヘミアンなファッションのイメージですが、そんな人はほとんど見かけませんでした。
アーティストも多いですが、ここから普通にデンマーク内の職場に出勤している人もたくさんいるそうです。

週末だけクリスチャニアに遊びに来る人もいるらしく、デンマークの社会に馴染めなかった人たちが拠り所としている場所なのかなと思います。

観光は危なくない?

デンマークのコペンハーゲンのクリスチャニア

マリファナが合法で売買されてるってどんな危ない場所なんだろうと思っていましたが、実はクリスチャニアに訪れるためにデンマークに来る人もいるくらい日本以外の国ではかなり有名だそうです。世界中から観光客が訪れるため、すっかり観光地化されていました。

麻薬の売人が無理やり声をかけてくるということもありませんし、ガイドツアーもあるくらいなので、普通に観光して大丈夫です。

エリア内は徒歩で歩き回れて中心地からのアクセスも良いので、わたしは友達とランチがてら遊びに行ったこともあります。

クリスチャニアで食べたフムス。住人には移民も多いので、各国料理が手頃な値段で食べれたりもします。
デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニアで食事
ただ、周りはマリファナの独特の臭いが充満しており、苦手な人もいるかもしれません。わたしも独特の臭いが苦手なので、長居はしたくないですね。

デンマーク人はどう思っているの?

デンマークのコペンハーゲンにあるクリスチャニア
ところで気になっていたのは、デンマーク人はクリスチャニアのことを一体どう思っているのか?ということ。

デンマーク人の友達に聞いてみると、「個人的には良くないと思っているし、特にマリファナは合法にすべきではない。同じように思っている人が多いと思う。」と答えてくれました。

日本語でクリスチャニアのことを調べると「自由」という点に注目したポジティブな感想を書いている人が多いのですが、実際のところ、当のデンマーク人はあまりよく思っていない人も少なくないようです。

おわりに

一言で言うとかなりカオスな場所ですが、観光地としては訪れる価値のあるクリスチャニア。
デンマークの中では特殊な存在ですが、今まで知らなかったデンマークの一面を覗いてみるのもおもしろいと思いますよ。

クリスチャニア公式webサイト