お久しぶりです、フードコーディネーター/フードスタイリストのsaecoです。
寒くなり鯖が美味しい季節になってきましたね。
今回はタイトルどおり、デンマークでのシーフード事情と海外でも手に入る鯖の食べ方についてご紹介したいと思います。
シーフードが乏しいデンマークで手に入る魚介類は?
日本に帰ってきてしばらく経ちすっかり日本型の生活に戻りましたが、海外ののんびりした雰囲気が良かったと思うこともあります。
が、日本に帰ってきて圧倒的に良かったと思うのは、食材、特に魚介類が豊富に手に入ること!
デンマークで何食べてたの?と聞かれることは多いですが、現地の生活でも自炊してたので食べるものは基本的には日本食です。
ただ、手に入る魚介類の種類が本当に少なく食材に限界があるので、普段はやっぱり肉がメインでした。
魚介類高いですしね…
ちなみに一般的なデンマークのスーパーで何が手に入るかというと
鮮魚は、サーモンの切り身、白身魚の切り身、季節によってはニシンや鯖。
加工食品で、冷凍のえび・ムール貝・白身魚、塩漬けのえび、缶詰のオイルサーディン・ニシン・ツナなどでしょうか。
もちろんお店によって多少違いはありますし、フィッシュマーケットに行けばもっと種類はたくさんあります。
いやしかし、サーモンの切り身は2切パックで30~40DKK(約500~680円)もするんですよ。
日本の2~3倍しますよね。高すぎでしょ。
フィッシュマーケットならスーパーよりは多少安い時もありますが、全体的にそれほど安くはなくそれほど新鮮でもありません。
日本の魚屋さんではあまり見かけないアンコウ(日本では高級魚ですね)が丸ごと一匹売っていたりするところはおもしろいんですけどね。
そもそもの物価が高いということもありますが、野菜や肉は日本とあまり変わらないor日本より安い場合もあるので、デンマークでは魚介類って贅沢なんですよね。
海に囲まれているのになぜ魚介類が高い?
わたしがずっと不思議だったのは、デンマークは内陸国でもなく海に囲まれているのに、なぜそんなに魚介類が高いのか?ということ。
この答えを通っていた学校のペスカトリアン(ベジタリアンの一種で、肉を食べず野菜・魚を食べる人のこと)の先生に聞いたところ
デンマークでは魚を捕獲後、鮮度を保つ工夫をせず何日も置くこともあるので、獲れたてでも鮮度が良くない
→そのことを知っている人たちは魚を買わない
→需要が少なく供給量も少ないので価格が上がる
とのことでした。
かなりざっくりした説明ですが、どうやらデンマークと日本では魚を獲った後の処理が違うそう。
わたしもデンマークに住んでから知ったのですが、日本では魚を獲るとすぐに活け締めや血抜きを行い鮮度を保つのが一般的ですが、海外ではあまり行われていないそうです。
日本では魚を生で食べるためより鮮度を保てるこの方法が広まったようですが、海外で伝統的に魚介類を生で食べる国はかなり限られているので納得でした。
で、そんな魚を主に食べる先生は、スーパーの鮮度の良くない魚は買わず自分で海釣りをして捌いて食べている、とのことでした。
魚より肉を食べる人が多いデンマーク人にしては珍しいですが、鮮度にはこだわりがあるみたいです。
そもそも「ペスカトリアン」という言葉自体を初めて聞いた人も多いかもしれませんが、その話は長くなるのでまたの機会に。
デンマークで住んでた家の近所で海釣りをしていたおじさん。写真撮っていい?と聞くとポーズ取ってくれました(笑)
鯖のおすすめ食べ方はこれ
デンマークの魚介類事情がわかったところで、デンマークや同様に魚介類の種類が少ないイギリスでもスーパーで買える、北ヨーロッパでは比較的手に入りやすい魚、鯖の食べ方についてご紹介しましょう。
ちなみに英語ではMackerelと言います。
スーパーだと切り身が、フィッシュマーケットに行くと丸ごと一匹売っています。
もちろん丸ごと一匹買ってきて自分で捌くのが新鮮で美味しいですが、魚を捌くのが苦手な人にとって楽なのは切り身ですよね。
ちなみにフィッシュマーケットでも頼めば捌いてくれますが、日本の魚屋さんのようなクオリティは期待しないほうが良いです。良くも悪くも大雑把なので…
ということで、鮮度別おすすめの食べ方を簡単にご紹介したいと思います。
切り身の場合
日本で買う場合は切り身でも新鮮なものもありますが、海外で買う切り身の魚の鮮度はそれほど良くないものがほとんど。
鮮度が落ちるとその分匂いやクセも強くなり、鯖が苦手だという人もいると思います。
わたしがイギリスで買ったパック詰めの鯖は、開けた瞬間明らかに鮮度が悪そうな臭いがしてきました…
切り身で新鮮であればシンプルに塩焼きが美味しいですが、鮮度が良くないものは臭み消しに調味料の力を借りましょう。
塩焼きは普通は塩を振って焼くだけですが、ここにさらに酒と生姜汁を振り、15分~30分ほど置いて焼くと臭みが抑えられ、パサつかずしっとりした塩焼きになります。
デンマークでも作れる鯖の塩焼き。
鯖の匂いが気になる人はそれ自体がパンチがある味付けの調味料を使いましょう。
定番の味噌煮から、カレー粉と小麦粉をまぶしてバターで焼くカレー風味のムニエル、トマトやケチャップで煮込むトマト煮込み、豆板醤で下味を付けて焼くなど、調味料が鯖の臭みを抑えてくれます。
また、下味をしっかり付けて揚げ物にしても良いですし、揚げた鯖をたっぷり野菜と甘酸っぱいタレに漬け込む南蛮漬けも美味しいです。タレに酢を使えば数日保存もできますよ。
丸ごと一匹の場合
海外で新鮮な魚を食べたいなら、やっぱり自分で捌きたい!
獲れたての新鮮な鯖は生臭さもほとんどなく、切り身と全然違います。
デンマークに住んでいた時はフィッシュマーケットで買った鯖を、最近は日本で趣味で釣りを始めたので、釣ってきた鯖や鯵を家で捌いて料理しています。
新鮮な魚はやっぱり刺身や生で食べるのが美味しいですね。これはデンマークで作ったしめ鯖です。
捌いたあとの骨は弱火で揚げて骨せんべいにしたり、お湯で霜降りをし出汁を取ると汁物にもなります。
鯖の出汁の汁物は船場汁といって、関西の方はぴんと来るかもしれませんが大阪の郷土料理です。
ところで、しめ鯖はお酢で締めていますが、火を通していないので刺身とそれほど変わりません。
実は鯖はアニサキスという寄生虫がいるため、生でそのまま食べるのは危険なんです。
加熱すればアニサキスは死んでしまうので、加熱して食べる分には問題ありませんが、生で食べたい場合は一度冷凍してから解凍するのが良いそうです。
-20℃で24時間以上冷凍すると死滅するらしいですが、家庭用冷蔵庫は-18℃の場合が多いため、48時間以上冷凍するのがアニキサス症の予防になるとのこと。
とはいっても安全の保証はできないので、しめ鯖を自分で作る場合は自己責任でお願いします。
海外でも作れる鯖の炊き込みごはん
さて、定番以外の料理が作りたいという方に、久しぶりに海外でも日本でも作れる日本食レシピをご紹介。
最近我が家でブームの鯖を使った炊き込みごはんです。
材料 ≪3~4人分≫
【A】
・米 … 2合
・水 … 2カップ
.鯖 … 1~2切(大きいものだと1切、小さいものだと2切)
・生姜 … 1片
・酒 … 大さじ1
・塩 … 適量
・大葉 … 3~4枚
・胡麻 … 適量
作り方
1)鯖の両面に強めに塩を振り15分ほど置き水分を取る、生姜をすりおろし、大葉は細切りにする。
2)【A】の材料を全て炊飯器に入れて炊く。
3)炊き上がったら大葉と胡麻を入れて
鯖をほぐしながら全体をさっくり混ぜて完成。
ヨーロッパでは大葉が高級でなかなか手に入らず自分で育てている人もいるくらいですが、それ以外の材料は比較的手に入りやすいと思います。
大葉は香りが良いのと臭み消しに使っているので、大葉がなければ代わりにねぎを細かく刻んで入れるのが良いでしょう。
旬を外れた脂がそれほど載っていない鯖でも美味しく食べられ、炊くと鯖の出汁が出るので出汁も必要ありません。
日本で作るなら塩鯖を使ってもOKですが、塩鯖を使うなら塩は控えめに振り、炊く前に表面の水分だけ取るようにしてください。
ここでの塩は味付けのためでなく臭み取りのため。魚は塩を振ると浸透圧で中から水分が出てきて臭みが抜けるので、鯖に限らずどの魚でも塩を振るという作業は大事です。
鮮度が良くない鯖だと炊き上がった時の匂いが気になると思うので、新鮮な鯖が手に入ったら作るのをおすすめします。
海外でもできる美味しいご飯の炊き方はこちらを参考に。
おわりに
日本では当たり前のように食べられる魚料理が海外では貴重・高級な料理になるなんて、日本に住んでいた時は思いませんでしたが、たまに食べられるからその分美味しさをより実感できたような気もします。
魚を捌くのは面倒くさい、難しそう、臭いというイメージが強いですが、鯖は基本の三枚おろしで大丈夫なのでそれほど難しくありません。
少し練習すればすぐに自分でも捌けるようになりますし、料理のレパートリーも広がりますよ!
他にも海外で手に入りにくい日本食材はたくさん。自家製できるものや代用品はこちらでご紹介しています。