こんにちは、フードコーディネーター/フードスタイリストのsaecoです。
みなさんは衣食住のうち、何に一番重きを置きますか?

わたしは旅行するにして住むにしても、一番気になるのはやっぱりその土地の料理が美味しいかどうかです。
当然デンマークに住む前も暮らしのこと以外にも料理についてリサーチしましたが、見つけたのは
デンマーク料理は美味しくない」という意見と
最近の新北欧料理は世界から注目されている」という二つの異なる意見…

どちらが本当なのか確かめる術がないままデンマークに引っ越してきましたが、実際に住んでみてデンマーク料理に対して思うことを書いていきたいと思います。

日本人とは違うデンマーク人の料理への価値観

わたしは日本人は世界の中でもグルメで、美味しいものを食べることを大切にしている国民だと思います。日本では季節が変わるごとに毎年新商品が出て、流行りの食品や飲食店も次々と変わっていきますよね。海外の料理を取り入れることにも積極的ですし、それまで全然知られていなかった料理でも、日本人の味覚に合うようにアレンジされていつの間にか当たり前に食べるようになったりします。

そんな日本人と比べると、デンマーク人は食に関してはだいぶ保守的です。スーパーに並んでいる食品もシーズンが変わってもそれほど代わり映えしないし、今まで食べたことのない料理を食べることに抵抗を示す人も少なくないです。

主人の会社に日本からの出張で来た人が日本のお菓子をお土産に持って来たそうですが、見たことない外観のお菓子にほとんどのデンマーク人の同僚は手をつけようとしなかったそうです。
少数ながら、食べた人の感想は「Interesting」。おもしろいってどういう意味?と思ったんですが、これはデンマーク人が「好きじゃない(美味しくない)」というのを丁寧に言う時の言い回しだそうで、評判はイマイチだったそう。

また、現在ヨーロッパでブームの寿司もデンマークでも人気ですが、デンマークの寿司といえばサーモンといえるくらい、昔から食べているサーモンをデンマーク人は好みます。他のヨーロッパ諸国では食べられているネタもデンマークではあまり人気がないことが多いようで、デンマーク人が食に対して保守的だからかなと感じています。

海外での日本食事情はこちらの記事で紹介しています。

デンマーク料理の特徴は?

コペンハーゲンのCafeNordenのデンマーク料理

デンマークの美味しい食材

デンマークの伝統的な料理でよく食べられているのは、豚肉、乳製品、じゃがいも、ベリー類など。酪農王国のデンマークでは、豚肉を使った料理が多いです。日本で買うより豚肉が安いこともありますし、ベーコンやソーセージは大容量で安くて美味しい!チーズや牛乳・ヨーグルトなど乳製品の種類もたくさんあります。じゃがいもはデンマーク人にとっては日本人のお米に当たるような存在なので、メインの肉料理に付け合わせがじゃがいも、というのが定番です。

デンマーク人友人宅でおもてなししてもらった時の料理。じゃがいもにソースをかけて食べるのがデンマーク流。いろんな種類のソースがあります。
デンマーク料理のフリカデラとじゃがいも
また、北欧の他の国も共通していますが、ベリーが豊富に取れるので、ジャムやベリーを使ったジュースなども美味しいですし、肉や魚の付け合わせにベリーが使われていることもあります。

ベリーが添えられた白身魚の料理。意外な組み合わせですが結構美味しいです。
デンマーク料理の白身魚にベリーを添えて
北欧といえばノルウェーサーモンなど、魚のイメージを持つ方も多いと思いますが、周りが海に囲まれているにも関わらずデンマークでは魚がとても高く、手に入る種類も非常に少ないです。生のサーモン、白身魚、ニシンなどは比較的手に入りやすいですが、それ以外の魚介類を買おうとするとスーパでは冷凍物しか売っておらず、わざわざフィッシュマーケットなどに行かないと手に入らないことが多いです。そして、そんなに新鮮でないのに値段が高かったりします。

海に囲まれているにもかかわらずシーフードに乏しいデンマークの魚介類事情にはちゃんと理由がありました。

素材を生かしたシンプルな料理。味付けは?

デンマークの伝統的な料理は、味付けには塩胡椒やハーブなどを使い、焼くだけ・煮るだけなどシンプルな調理法の料理が多いです。オーブンに入れるだけでOKのオーブン料理もデンマーク料理を語る上では外せません。
素材が美味しければそれでも十分美味しいのですが、わたしがデンマーク料理で苦手だと思うことがあります。

それは、味付けがしょっぱすぎることと、味が濃すぎること!

デンマーク人は料理に塩をたくさん使います。もともと寒い地域の料理は、長期保存するために味付けを濃くする傾向にあるのでそれは仕方ないのですが、デンマーク人は料理の味見をせずに塩をたくさんかけるという人が少なくありません。わたしにとってはすでに結構塩辛い味付けにもかかわらず、一緒に食事をしているデンマーク人が料理にかなりの塩を振りかけているのを何度も見かけました。

また、スイーツはめちゃくちゃ甘いですし、スープやソースなどもバターやクリームがたくさん使われていることが多く、全体的に味付けは結構濃厚です。デンマークに限らず、ヨーロッパのレストランで食事をすると量はもちろん多めですが、デンマーク料理は味付けが濃くガッツリ系が多いので、それほど食べていなくてもお腹がいっぱいになってしまいます。

デンマーク人でも若い人は、伝統的な料理は冬にはいいけど夏には重たすぎるかな、と言っていたくらいなので、日本人にとっては合わないこともあるかもしれません。濃い味が好きな人にとってはそれほど気にならないかもしれませんが、薄味が好きな人にはちょっと辛いかも?

新旧デンマーク料理の比較

デンマークにはミシュランの星付きの店がいくつもありますが、それは今まで書いた伝統的な家庭料理とは別で、「新北欧料理(New Nordic cuisine)」という分野の料理が世界から注目を浴びているそうです。コペンハーゲンにあるノーマ(noma)というレストランは3年連続で世界のベストレストラン1位になったことがあるそうで、聞いたことがある方もいるかと思います。
新北欧料理は、地産地消にこだわり伝統的な食材を使いつつ新しい調理法を取り入れる、というのが基本の考え方で、斬新な盛り付けなどにもこだわっているのが特徴ですが、苔や蟻を使った調味料などあまりに斬新過ぎる料理もあるそうです。

このジャンルの料理はデンマーク人でも好みが分かれるようで、ごく一部のグルメな人に受けているのかな?と印象。一般の人は美味しいから食べに行くというよりは、自分自身の経験のために行ったという話も聞きました(味についてはノーコメント)。
わたしもいわゆる新北欧料理のレストランに行ったことはありますが、見た目はお洒落だけど美味しいのかよくわからない不思議な味の料理でした。

新北欧料理のレストランで食べたスモーブロー(オープンサンド)。
デンマークの新北欧料理のスモーブロー
純粋に味が美味しいかと聞かれると、好みによるとしか言いようがないですが(わたしの好みではなかった)、食事の味自体だけでなく、その空間を楽しむことを大切にしているのかなと思います。
ただ、日本の雑誌やインターネットで「コペンハーゲンがグルメな街」という書き方をしているのにはちょっと違和感がありますね〜

デンマークに来たら食べたい料理3選!

デンマークにはいろいろな料理がありますが、その中でもわたしが特に好きな料理を3つご紹介しますね。

スモーブロー(Smørrebrød)


Instagramなどでもお洒落な料理として人気のスモーブローは、デンマークの伝統的な料理のオープンサンドです。デンマークではランチの定番で、家で食べるときはビュッフェスタイルで自分で具材をトッピングすることが多いようです。わたしがデンマークのフォルケホイスコーレという学校に行っていた時も、食事のメニューでスモーブローはしょっちゅう出て来ました。

具はスモークサーモンや塩漬けの小海老などの魚介類をはじめ、レバーペーストやローストビーフ、ローストポークなどの肉の具材にハーブやピクルス、野菜などがトッピングされています。パンはライ麦からできた黒パンが使われていることが多いですが、バゲットなどが使われることもあります。
黒パンはこんな感じで、デンマークのパンはドイツから影響を受けたライ麦パンがほとんど。
デンマーク料理の黒パン
定番のスモークサーモンは間違いなく美味しいですが、個人的におすすめしたいのはデンマーク人が大好きなレバーペースト。特に、黒パン+レバーペースト+ベリージャムの組み合わせはすごく美味しいです。単品だとそれぞれクセがある味ですが、一緒に食べると上手く調和してくれます。レバーペーストは自家製している家庭もありますし、日本のものよりはクセが少ない気がします。

また、わたしが驚いたのは、デンマーク人の子供が好きな食べ物がレバーペーストとにんじんということ!日本の子供だと真っ先に嫌いな料理に上がりそうですが、国が変わればここまで嗜好も違うんですね。レバーが好きな人はデンマークのレバーペーストも試してみてください。

フレスケタイ(Flæskesteg)

デンマーク料理のフリカデラ
クリスマスやお祝いの時に欠かせないフレスケタイは、デンマーク料理で一番美味しいという人も少なくありません。
豚肉の塊肉に塩を塗り込んでオーブンでじっくり焼くだけのシンプルな料理ですが、そのシンプルさが美味しい!特に皮のカリカリの部分が美味しく、皮の部分だけスナック感覚で売られていることもあリます。ビールにもぴったりなので、おつまみにおすすめ。赤キャベツの酢漬けと食べるのが定番で、甘酸っぱい酢漬けがフレスケタイの脂っこさを調和してくれます。

デンマーク料理のレストランなら必ず食べられると思いますが、フレスケタイをアレンジしたハンバーガーやサンドイッチなどが売られていることもあります。王道のフレスケタイも美味しいですが、アレンジ料理も美味しいので、デンマークに来る方には試していただきたいです。

タールテレッタ(Tarteletter)

デンマーク料理のタルトレタッター
タルト型にホワイトアスバラガスや鶏肉、ホワイトソースが入った料理。サクサクの生地にとろみのあるホワイトソースがよく合って美味しいです。デンマーク料理のレストランでも食べられますし、ストリートフードなどのフードコートでも食べられることもあります。タルト型を崩すとホワイトソースが流れ出てくるので食べるのが結構難しいのですが、特に寒い時期にはおすすめです。

おわりに

デンマークは寒く、日本のように食材が豊富に取れる国ではないので日本ほど料理の種類は多くありませんが、デンマークならではの料理もいろいろあります。個人的には相当な美食家の方でない限り、新北欧料理よりは、家庭で作られるシンプルな伝統的なデンマーク料理の方が美味しく食べられると思います。
物価が高いデンマークでは外食も高く、デンマーク人も家で食事をする人の方が多いですが、レストランより手軽に食べられるストリートフードなども最近は人気なので、デンマークに来るときは是非デンマーク料理に挑戦してみてください!

デンマークの食のトレンドを知るにはこの記事を。

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